健康志向の高まり、そしてストレス社会…。免疫力を高めて、ストレス改善にも効果が期待できるサウナは、現代社会にピッタリなリラックス方法。そこに、コロナ禍によってサウナの魅力にハマる人が増え、一気にサウナ需要が加速!
熊本にもたくさんオープンしたサウナ施設の中から、今回は、サウナ好きが高じてオープンしたプライベートサウナや、老舗宿が禅をテーマにオープンしたラグジュアリーサウナなど、選りすぐりの3件をご紹介します。
日常の中にある非日常。時間軸が変わる体験を
熊本市西区のとあるビルの10階。予約をした人だけに伝えられる住所を訪ねると、目の前に広がるのは、眼下に広がる住宅街、そして青い空と山々…。熊本市で暮らす人にとって、たいした移動時間もなく、この非日常の景色を眼前にすると思考が混乱してしまいそう…。
2022年11月にオープンした「intro vettä」は、そんな日常の中にある非日常を体感できるプライベートサウナ。10時〜14時の午前の部(1人10,000円)、16時〜21時の午後の部(1人15,000円)、1日2組限定でサウナ+食事が楽しめます。
所要時間4〜5時間と一見、「長すぎ?」と感じる時間ですが、過ごした人みんなが、「あっという間だった」と言いながら帰っていくということ。その理由は、同店のオープンのきっかけの話につながります。
「私たちは、楽しく仕事をするタイプで、少し前まで、まさに仕事一筋の人生でした。楽しいから、何のストレスもなく幸せだと思っていたのですが、ある日、北海道のサウナを体験して、あれ?って気づいたんです」。話すのはオーナーの中さん。サウナ小屋を貸し切って過ごした4時間。あえて動かない時間がいかに贅沢かに気づき、仕事しかしていない自分たちの人生が、「異常」に感じたといいます。
「働き方と休み方って表裏一体だって気づいたんです。うちのプランって中途半端な時間帯なんですが、あえてそこに時間をつくることが大切なんです」。
オーダーメードのサウナは、焚き火を囲むように、ストーブを囲んで会話が弾むように設計。熱伝導まで計算し、セルフロウリュ(※)で使うアロマ水は、「お茶の富澤。」とコラボした「ロウリュ茶」。ここでしか体験できないものです。
※「ロウリュ」とは、サウナ発祥の地・フィンランドのサウナ入浴方法。ストーブの上で暖められたサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させます
サウナのセット数に合わせてアロマ水を使い分け、最後はスパイシーな香りで刺激をたっぷり浴びて仕上げます。水風呂に入った後は、10階バルコニーで横になれば、すーっと空を飛んでいるような感覚に。
提供される食事も、「体に優しい」をテーマに用意され、全て手作り。料理担当の田上さん自らが自家栽培する有機野菜をたっぷり使ったものばかりです。
ソファでゆったり過ごしたり、追いサウナを楽しんだり…。時間の使い方は、人それぞれ。「仕事仲間でいらっしゃって、ミーティングも兼ねて使われる方も。クリエイティブな発想につながるようです」と田上さん。
滞在中は、スタッフがカウンター内で料理の用意などをしてくれるので、一人での利用も多く、この至れり尽くせりのサービスにもファンが多いようです。intro vettäの隣の部屋で宿泊も可能なので、朝までゆったり過ごすこともできます。
■intro vettä(イントロ ヴェッタ)
問合せ先:インスタDMにて
所在地:熊本市西区
営業時間:10:00〜14:00、16:00〜21:00
休み:完全予約制
身も心も凛とするラグジュアリーサウナ
肥後細川家ゆかりの「水前寺成趣園」。歴史と文化が築かれたこの水前寺で、70年近く、旅人が羽を休めてきた老舗旅館「松屋本館」。ここに、2023年4月、新たに生まれたラグジュアリーサウナ&スパ「湯屋水禅」もまた、多くの人たちのとまり木になっています。
オープンしたのは、本館の道向かい「松屋別館」の2階。「日本の良さ、風習をつなげたい」と和をベースにした佇まいは、エレベータを降りた瞬間から、空気が変わったような、スイッチが切り替わるような凛とした空間です。
「日本において湯に浸かることは、水の持つ清浄な力で心身を清める習慣と結びついてきました。冷えから体を守り、心身の疲れを癒す入浴は、まさに日常の『贅』。古来より受け継がれてきたこの日本文化を感じるにふさわしい水前寺で、静かに己と向き合い、身も心もととのっていただきたいと考えています」とゼネラルマネージャーの市丸さん。
サウナと水風呂、大浴場などのある「大湯」は男女別(150分利用3,000円〜※土・日曜・祝日は120分)。全面ヒノキのサウナにはセルフロウリュがあり、自然素材から生まれたオリジナルのアロマ水「水禅」が使われ、サウナ内は爽やかな柑橘と緑の香りに包まれます。
外気浴スペースもゆったりと用意され、外を感じる工夫が凝らされています。ラウンジでゆっくりと過ごすのも良し、コワーキングスペース「会所」でちょっと仕事をするも良し…、1階の「肥後ダイニング そろ」でサウナ飯「水禅ごはん」をいただくも良し、さまざまな使い方ができるため、出張で訪れたビジネスマンにも喜ばれているといいます。
「プライベートな空間でサウナを楽しみたい」という人には、貸し切りで利用できる「浴司」がおすすめ。茶室をイメージしたサウナと、2つの檜の浴槽には水と湯が張られています。休憩スペースには小上がりの畳もあり、日帰りで利用するのがもったいなくなるほど。どこをとっても「贅沢」な空間が広がっています。
観光で訪れる人が多いこともあり、熊本の文化を感じる心遣いも。細川家の菩薩寺である「泰勝寺」の庭石や九曜紋の瓦、細川護光さんなど熊本ゆかりの陶芸作品など、愛でる楽しさのある空間になっています。
旅の始まりにも終わりにも、もちろん日常のひと休憩に、スイッチを切り替えに訪れたいサウナの誕生です。
■ Luxury Sauna&Spa湯屋水禅(ゆやすいぜん)
問合せ先:096-213-1331
所在地:熊本市中央区水前寺5-5-1松屋別館2F
営業時間:6:00〜24:00(11:00〜12:00は清掃時間)※コワーキングスペースは7:00〜22:00
休み:なし
都会のオアシス。マチで楽しむサウナ時間
大好きなサウナに入って、マチを見下ろしながらととのう…。言葉にできない贅沢な時間を過ごした時、人は悦に入り、いつも以上に満足することがあります。そんな体験が、上乃裏通りに誕生した「カミノウラ307」で叶うと聞いたら、興味津津ですよね?
ここは、サウナ好きのオーナー自らが、さまざまなサウナーをリサーチし、その夢を詰め込んだ、「サウナーによる、サウナーのためのプライベートサウナ」。階段を登ったビルの3・4階を貸し切って、思い思いのサウナ時間を過ごすことができる施設です。
1日3組限定(3時間20,000円〜)。ファミリーでも利用してほしいと、サウナはガラス張りになっており、子どもたちが遊んでいる様子を眺めながら、サウナを楽しむことができる点も嬉しいポイント。バーベキューをしたり、テークアウトグルメを持ち込んでパーティーをしたり、サウナ+αの楽しみ方ができるスポットとして利用されているようです。
高温サウナは110℃まで設定可能で、マチを見下ろす小窓も用意。こじんまりながらも寝ながら楽しめるようL字にする点や、地下水をチラー(水風呂冷水機)で冷却し14℃に設定した水風呂も、サウナーならではの視点。
「宿泊もできるので、朝サウナが良かった!とお客様に喜んでいただいています」と支配人の浜田さん。「ラグビーをしていた学生時代にサウナにハマりました。サウナに入ると悩み事があってもポジティブになれるし、何より、免疫力が上がったのか風邪をひきにくくなりました」とサウナの魅力を語ってくれました。
予約は専用のサイトから行い、無人運営なので人に会わずにチェックイン・アウトが可能。食器やタオル、アメニティも揃い手ぶらで利用でき、冷蔵庫やホームシアター、カードゲームも完備されています。「手ぶらで大丈夫ですし、BBQグリルや食材なども予約時に伝えていただければ用意します」。
自分へのご褒美に、大切な人へのプレゼントに、家族団欒の時間に…。日常の喧騒を忘れて、マチの屋上で空を眺める時間を過ごしませんか?
■カミノウラ307
問合せ先:インスタDMにて
所在地:熊本市中央区南坪井町2-5-3F
営業時間:12:00〜15:00、16:00〜19:00、20:00〜翌10:00
休み:なし
URL:https://www.chillnn.com/1854d77cfb7181
熊本の個性派サウナ、いかがでしたでしょうか?サウナ好きの店主のこだわりが、これでもかと詰まった3件は、どれもが唯一無二。そのこだわりに、眺めているだけでも思わずニヤけてしまいませんか?熊本でしか味わえないサウナ時間を、ぜひ体感してください。
(構成・取材・文・撮影/今村ゆきこ)
※写真の一部は借用したものを使用しています
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