ご乗車いただき、誠にありがとうございます。
不定期連載「熊本市電 電停ぶらり旅」。
どこから乗っても、どこで降りても、1回の乗車で180円。線路でつながってさえいれば、180円(小学生は90円)でどこへでも行ける便利な乗り物。それが熊本市民から愛されている、熊本市電です。※2023年6月に大人運賃が180円に改定されました
今回降り立った電停はB系統[3]の「本妙寺入口」。
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今回の電停の名前にある通り、近くに本妙寺というお寺があります。本妙寺は、約400年の歴史がある加藤家代々の菩提寺。毎年7月23日には「頓写会」が行われており、近所の人たちには特に馴染み深いと思います。
頓写会についてはこの観光ガイドでも紹介しているので、詳しくはそちらを参照してみてください。
では、せっかくなので本妙寺に行ってみましょう。電停を降りたところには本妙寺を案内する道石がありました。
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高架下を過ぎて、橋を渡ります。渡っている川は井芹川です。
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そのまま直進すると、麓にある「仁王門」が見えてきました。

おや?
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なんと工事中でした。現在いる場所の下に道路を通すための工事をしているようです。目的地までたどり着けない……と思いましたが大丈夫。
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ちゃんと参道への迂回路が準備してありました。ただ、歩道が狭く、車も通りますので、気をつけて進んでください。
要所要所に迂回路の案内看板がありますので、それに従って歩くと、先程の「仁王門」の裏側にでます。
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迂回路を抜けて、石畳の参道に到着しました。
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木漏れ日の参道は目にも優しく、ときおり 吹く風も相まってとても気持ち良い!
本妙寺はもともと、天正13(1585)年 、加藤清正公が父清忠公の菩提寺として大阪に建立したものを、同16(1588)年肥後入国の後、熊本城内に移しました。さらに慶長16(1611)年 、清正公逝去のあと、現在地に移建されたものです。
長い参道を進むと、たどり着くのが、「胸突雁木(むなつきがんぎ)」。
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雁木というのは階段を指すので、胸を突くような勾配の階段、ということでしょうか。本当に急勾配で、登り切る頃には息もあがっていることでしょう。
胸突雁木を越えると、加藤清正公が祀られている「浄池廟(じょうちびょう)」に到着です。
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立派な建物を前に、自然と厳かな気持ちになります。
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立て札によると、慶長16(1611)年 6月24日に熊本城中で加藤清正公は亡くなり、遺言により、自身が築いた熊本城天守閣と同じ高さの地に葬られ、浄池廟と称されました。その後、この清正公のお墓を守るため、本妙寺は元和2(1616)年 、熊本城内から移転してきました。
浄池廟がある場所には展望所もあり、熊本城と同じ高さにある、というのがよくわかります。
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展望所からの眺望も楽しんで、さて帰ろう。というわけにはいきません。参道にはまだ先があります。
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清正公の銅像を見に行きましょう。ただしこの参道を進む際には、これまで以上に心と身体の準備をしっかりしましょう。
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なぜならこの階段、なんと、300段もあるらしいのです。先程の胸突雁木よりも段数は多いです。
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この日、私の他にも階段を登っている人はいましたが、ほとんどの人たちが途中で一息ついていました。もちろん私も途中で息を整えました。
息も絶え絶え、なんとか登りきった先には!
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凛々しくそびえ立つ、清正公の銅像です。立て札によると、この銅像は高さ約8.2メートルあるそうです。その大きさに圧倒されます。
そしてここにも展望所があります。
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さきほどよりもだいぶ高い場所にいるのがわかりますね。そのぶん登ってきたということですので、だいぶ体力を消耗しているんですが。
こうやって、清正公が熊本城を見つめ 、我々のことも見てくれているのかなあと考えると、なんだか不思議な気持ちになりますね。
清正公が成し遂げた様々な偉業に思いを馳せに、あなたも本妙寺入口電停で降りて、ぶらり旅してみませんか。その際には、気力体力水分の準備をお忘れなく。
電車と徒歩で進む、電停ぶらり旅。ぜひ、時速20kmと時速3kmの熊本の風景を、あなたなりに楽しんでみて下さい。
それでは、また次回お会いしましょう。
■本妙寺
住所:熊本県熊本市西区花園4-13-1
問い合わせ先:096-354-1411
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