瑞鷹
吉村謙太郎
1972年生まれ。熊本県内の契約農家とともに自然栽培した九州生まれの酒米「吟のさと」を醸した「純米吟醸 崇薫」は国内外のコンクールで受賞するなど、高い評価を受けた。伝統を受け継ぎながらも革新に挑む酒づくりを行う。
1867年、肥後細川藩の米の集積地として栄えた川尻に創業。地酒のほとんどが赤酒だった明治時代に、県内でいち早く清酒の製造に着手。
熊本地震では、江戸から大正にかけて建てられた蔵を含む、建物の7割が大きな被害を受けた。
高良 赤酒といえば正月のお屠蘇ですね。
吉村 東京の熊本県人会に赤酒を持っていくと、皆さんの故郷の味で懐かしいと言ってくださるんですよ。
高良 赤酒はお屠蘇以外にもいろいろな飲み方ができそうですよね。
吉村 ああ、うれしい。ソーダで割ってカクテルに使うこともあります。
高良 ソーダで割るのはいいですね。
吉村 最近はテロワールといって地元の原料にこだわろうと、より地域に根ざした酒づくりにも取り組んでいて、2017年から川尻で新品種の酒米「華錦(はなにしき)」を作っています。瑞鷹は私で5世代目ですが、酒業界は厳しい世界で、会社を残すためには変わることも必要。昔からのやり方を変えるというのは難しいことですが、ある意味で熊本地震がそのきっかけになりました。
高良 続けていくために変わらなくてはいけない、そして震災がそのきっかけになった、というのは興味深いです。
吉村 震災後にたくさんのご支援を受けて、もうこの会社や酒は自分たちだけのものではないと感じました。酒づくりはもちろんですが、設備なども古くて使えないものを残しても意味はないので、変えるべきところは変えて、どれだけいい形で50年、100年と残していくかを考えています。
高良 伝統や歴史を大事にするのが大前提で、ということですよね。
吉村 はい。熊本の日本酒は全国的には知名度が今一つなんですが、今、県内の若い酒蔵が元気になってきています。支援してもらったということは、先方が望んでくれているということだから、良い酒しか出せない。
高良 続けていくために変わらなきゃいけない、という言葉は今回大事なポイントの1つだと思います。ありがとうございました。
赤酒は加藤清正が熊本城を築城したころには庶民の酒として親しまれ、そのころ加藤家から大阪の豊臣家に熊本の名産として献上されたという記録も残る。江戸時代になると細川藩が「御国酒」として保護した。高良家でもお正月に飲んでいたそうで「懐かしい」と笑顔。
所在地 | 〒861-4115 熊本市南区川尻1-3-72(小売店舗 東肥大正蔵) |
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お問合せ | 電話番号: 096-357-7251 |
アクセス情報 | JR鹿児島本線「川尻駅」下車、徒歩10分 九州産交バス「くまもと工芸会館前」下車、徒歩1分 |