2022(令和4)年6月3日にオープンして以来、話題を呼んでいる「熊本屋台村」。熊本の食と酒が集結する、元気いっぱいのスポットは、県内外のゲストを笑顔にしているようです。 

今回は、「熊本屋台村」の仕掛け人に、誕生までの物語や屋台村の魅力をインタビューしました。

熊本にないものを作りたい! 6年の構想期間を経てオープン!

熊本市電が走る通町筋、上通入口近くにある「熊本屋台村」。全長50メートルの通路に18店舗が店を構えています。 仕掛け人は、ONE PIECE熊本復興プロジェクトやソフトクリームグランプリ®︎などを仕掛ける企画会社「フラッグス株式会社」の松江慎太郎さんと、九州全域にネットワークを持つ酒卸業者の「株式会社オーリック」の本多周一さん(現在、「一般社団法人熊本屋台村」代表理事)。

「全店、認証店ですので安心して楽しんでください」と松江さん(左)と本多さん
「全店、認証店ですので安心して楽しんでください」と松江さん(左)と本多さん

6年前、企業跡地の利活用について相談を受けた松江さんは、「面白いことをしたい。熊本にないものを作りたい」と本多さんに相談。熊本観光のハブ的な役割、観光案内所のような役割を持ちつつ、地元・熊本の人たちも訪れる場所に…と考えたという。

 

「SNSやネットで情報が簡単に得られる時代ですが、その情報の真意は定かではありません。そこで大事なのが、直接人から得られる情報。屋台スタイルにすれば、ゆくゆくはお客さんとお店の交流はもちろん、お客さん同士の交流も生まれ、リアルな情報が得られると考えたんです」と本多さん。それは満足度につながり、県内外問わず、お客さんが集う場所になる。さらに、「この場所を起点に、街に、県内各地にお客さんを送客したい! 集客して送客することが狙いです」と教えてくれました。

運営の二人が率先して楽しむ「熊本屋台村」。写真は「年金酒場」にて
運営の二人が率先して楽しむ「熊本屋台村」。写真は「年金酒場」にて

だからこそ「地産応援」というテーマを掲げ、8月にはSDGs広場もオープン。市町村のPRの場や障がい者支援の場、さらに、9月からは、これから店舗を構えたいという新規事業者の人たちのチャレンジの場としても、スペースを提供するそうです。

屋台村の裏手。上通側に設けた「SDGs広場」
屋台村の裏手。上通側に設けた「SDGs広場」

今日はどこにしよう?選ぶ楽しさいっぱいの屋台村を満喫!

竹細工の照明が雰囲気を盛り上げる。天候の良い日は屋根を空けてオープンスタイルに
竹細工の照明が雰囲気を盛り上げる。天候の良い日は屋根を空けてオープンスタイルに

鉄板焼きに串揚げや焼肉、肉バル、ホットドック…と個性豊かな店が並ぶ「熊本屋台村」。訪れるたびに新しい出会いのある屋台村の、おすすめの3件をご紹介します。


菊池や下通で人気を博している「イルフォルノドーロ」が手がける炉端イタリアン「いるふぉ」。

「頑張るぞ!と奮起する元気なオーナーさんばかりで働くのも楽しいです」と「いるふぉ」の原田オーナー(左)と、「お肉ちゃん」の愛称で親しまれているシェフの本田さん
「頑張るぞ!と奮起する元気なオーナーさんばかりで働くのも楽しいです」と「いるふぉ」の原田オーナー(左)と、「お肉ちゃん」の愛称で親しまれているシェフの本田さん

「屋台や居酒屋に憧れていたんですが、店舗を構えるのはリスクが高いので踏み出せなかったところ、『熊本屋台村』の募集を知りチャレンジしてみることに。お客さんと直接やりとりができ、目の前で料理し、提供するという対面スタイルにすることで、お客さんの料理への向き合い方も変わり、楽しさ・おいしさも増すと感じています」とオーナーの原田さん。

店もイチから設計し、炉端焼きスペースを中心に、カウンターは7席。テーブルやスタンディングスペースも設けた、こぢんまりとしたお店が完成したそう。

原始焼きというスタイルでじっくり焼き上げる
原始焼きというスタイルでじっくり焼き上げる
甲殻類を食べて育ったヤマメは、背ビレ・尾ビレが赤く染まるそう。「トスカーナのオリーブオイルとの相性抜群です」と原田さん
甲殻類を食べて育ったヤマメは、背ビレ・尾ビレが赤く染まるそう。「トスカーナのオリーブオイルとの相性抜群です」と原田さん

厳選した食材は、菊池のジビエや阿蘇のあか牛、山都町のヤマメなど、肉も魚も生産者がこだわって育てたもの。炭を縦に積み上げる原始焼きと言われるスタイルで焼き上げられ、塩やオリーブオイルなどをプラスすることでイタリアンへと昇華し、驚くほど食材の旨みを感じる仕上がりに。ナチュールワインも揃っているので、一緒に楽しむのがおすすめです。

ピザ窯で焼き上げる本格ピッツァ
ピザ窯で焼き上げる本格ピッツァ
ひと口サイズにカットされた“ロトリーノ”
ひと口サイズにカットされた“ロトリーノ”

限られたスペースながら、そこは人気ピッツァ店。厨房にはピザ窯もあり、自社製のモッツァレラチーズと生地を使ったスティックタイプのピッツァ“ロトリーノ”がいただけます。しかも、ここでしか食べられないメニュー。ぜひ注文したい一品です。


続いては、ずらりと並んだ「球磨焼酎ためし酒」スタンドです。

球磨焼酎初心者にも嬉しいためし酒スタイル
球磨焼酎初心者にも嬉しいためし酒スタイル

27蔵元の球磨焼酎が月毎に入れ替えられ、1杯100円で楽しむことができます。楽しみ方は簡単! カップを手にし、好きな銘柄のスタンドにお金を入れて注ぐだけ。氷や水、お湯もあるので、飲み方はお好みで。

ちょっとずつ、さまざまな種類を楽しめるのが嬉しいポイント
ちょっとずつ、さまざまな種類を楽しめるのが嬉しいポイント

随時14種類の焼酎が並ぶので、全部を試したい!という強者も。しかも、月毎に銘柄が変わるとあって、出かけるたびに、新しい出会いがあるのも魅力! つい飲み過ぎてしまうので、要注意です。


屋台村の端、SDGs広場近くにある大衆酒場「年金酒場」へ。ここは、なんと60歳以上は10%OFFというサービスが話題のお店です。

実は「フラッグス」の専務取締役でもある岩下さん
実は「フラッグス」の専務取締役でもある岩下さん

「実は、私もフラッグスの人間なんです。このプロジェクトが動き始めて、自分自身も関わりたいと考え、店をオープンすることに」と岩下さん。「がんちゃん」の愛称でお客さんに親しまれている、屋台村の名物店主になっているそうです。

カウンターのみの店内。店先にテーブル席を用意
カウンターのみの店内。店先にテーブル席を用意

カウンターに立つのは、家庭料理のプロ!のお母さんたち。日替わりで提供されるカレーや小鉢は、お母さんたちそれぞれの味わいとあって、「日替わり」なのだそう。お昼ご飯にカレーを食べに来る人や、ちょっと一杯を楽しむ人などが集い、アットホームな雰囲気と、誰よりも酒の場が大好きな店主が特徴のお店です。

日替わり小鉢もお母さんたちの手作り。「日本酒と一緒にどうぞ」と岩下さん
日替わり小鉢もお母さんたちの手作り。「日本酒と一緒にどうぞ」と岩下さん
ガリを加えた甘みが特徴の“桃色ぎょうざ”
ガリを加えた甘みが特徴の“桃色ぎょうざ”

電車通りに面した新たなランドマーク「熊本屋台村」。並ぶのはどこも個性的なお店ばかりです。気になる店に足を運びながら、熊本の良いところ情報をゲットしてみてはいかがですか?


■熊本屋台村

住所:熊本市中央区城東町2-22

問合せ先:080-4974-2179

営業時間:12:00〜23:30

休み:第1・3・5水曜

URL:https://kumamoto-yataimura.com

駐車場:無

 

■炉端イタリアン いるふぉ

営業時間:16:00〜23:30(土・日曜・祝日は14:00〜)

休み:第1・3・5水曜、不定休

 

■球磨焼酎ためし酒

営業時間:12:00〜23:30

休み:第1・3・5水曜

 

■大衆食堂 年金酒場

営業時間:11:00〜20:00

休み:第1・3・5水曜


(取材・文・撮影/今村ゆきこ)

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