御菓子司 きくもとや
4代目店主 村上賢太郎
1977年生まれ。東京や千葉の和菓子店での修業を経て、25歳のとき実家である「きくもとや」ののれんを譲り受けた。先代から受け継いだ味を守りつつも、現代的な創作和菓子を作るなど、新商品の開発にも精力的に取り組む。
1900年創業の「︎御菓子司きくもとや」。代表銘菓「ひごのらくがん」は慶事・仏事に用いられ、100年以上もレシピを変えずに作られている。
季節ごとの果物や県産酒「香露」を素材に用いるなど、地元食材を取り入れた和菓子も多く並ぶ。
村上 2代目にあたる祖父が店を営んでいたのは戦前戦後の食糧難の時代で、らくがんをメインに作っていました。らくがんといっても当時はあんが入っていないものが一般的だったのですが、祖父があん入りの商品を考案して、今も原料や製法を変えずに受け継ぎ、看板商品になっています。
高良 (ショーケースを見ながら)この「ドリップ大福」は村上さんが考えたのですか。
村上 生クリームやコーヒーを使うことは、和菓子としては邪道だと怒られそうですが、遊び心で考えたものです。そうして作った商品は2、3年のスパンで入れ替えることが多いのですが、「ドリップ大福」は気に入って買ってくださるお客様が多いので、やめるわけにはいかなくて作り続けて12年ほどになります。
高良 想像よりコーヒーの苦味はなく、中の生クリームも美味しいですね。ご自分で「これは攻めたな」という商品を作ったことはありますか。
村上 ありますね。バレンタインデーやホワイトデーの時季に販売する「和風トリュフ」です。生チョコ入りのあんに洋酒をきかせ、蒸し上げた和菓子です。今あるので食べてみますか。
高良 これもおいしいですね。
村上 昔からのやり方だけでは通用しない部分もあり、和菓子も時代に合わせて変化していかなくてはいけません。熊本は農業が盛んなので、西区河内町の朝摘みイチゴや生産量全国1位の甘夏といった、県産品でいい素材のものを加工してお客様に提供したいと思っています。和菓子っていろんな商品があって、アイデアも出尽くしている印象がありますが、人と一緒というのは嫌で少し変わったものを常に追い求めています。
高良 熊本県民は「人と同じことはしたくない」という人が多いけど、やはり村上さんもオリジナリティ溢れるかたなのですね。
時代に合った和菓子を作りたいと、旬の食材を用いて遊び心のある商品を考案。春〜初夏にショーケースを彩る、県産甘夏使用の「甘夏KAN」は、甘夏果汁とわらび粉、白あんを練り上げ独特の食感に仕上がっている。「肥後古流 白水会」の茶会でも、きくもとやの和菓子が提供される。
所在地 | 〒860-0047 熊本市中央区春日2-13-6 |
---|---|
お問合せ | 電話番号: 096-312-5550 |
アクセス情報 | 熊本市電「熊本駅前」下車、徒歩8分 |