無双直伝英信流居合道道場 誠心館
太田誠二
1947年生まれ。27歳で居合道を始める。97年に道場「誠心館」を構え、2017年全日本居合道連盟の最高位にあたる範士十段を取得。
太田光柾
1973年生まれ。2010年居合道の全国大会六段の部で優勝。武士道美術研究の画家、グラフィックデザイナーとしても活躍。
居合道は、戦国時代末期に始まった日本刀を使った古武道。
礼に始まり、礼に終わり、型を通じて感謝の心を育て、自分と向き合うことで精神を鍛えられる。
太田誠二 居合道では刀を抜き、再び刀を鞘に納めて、元の位置に戻るまでが一つの技。型は一人で行いますので、稽古中は自分を見て、姿を正し、自分の精神と向き合うことになります。強く正しい心を養うと、剣も、姿もまっすぐになり、世阿弥の侘び寂びとつながるように無駄な動作をしなくなります。それが日常にも生き方にも通じるんです。
高良 お話を伺って、自分が好きな本「葉隠」を思い出しました。型をしながら自分自身と向き合う居合道の精神は「悠久」に通じるものを感じます。
太田光柾 居合には約60本の型があるのですが、結局は感謝の心を養うために稽古していることに気づかされるんです。というのも、稽古では必ず神前と日本刀に礼をします。武器に頭を下げる文化は日本にしかなく、行き着くところは「ありがとう」という気持ちです。その道はずっと続いて究まるところがありません。俳優の世界も同じではないですか。
高良 日本には武道や茶道など「道」がつく文化がたくさんあり、続けるうちに慣れていくのかと思えば、奥が深く、確かに終わりがありません。芝居道、演技道とは言いたくないし、思わないようにしていますが、今回長く受け継がれる文化に触れてみて、それを芝居に置き換えたときに、どんなものになるだろうと考えています。ただ、それを究めるのは今の年齢では難しいように感じます。
光柾 私が本格的に居合を始めたのは30歳のころです。初めてフランスに行き、ヨーロッパでは左右対称の紋や美しいものを金で表すのに対して、肥後鍔では破れた扇子を金で表現するという文化の違いを目の当たりにしました。そこで侘び寂びの美学に興味を持ち、改めて実家に居合があることを気付かされたんです。
高良 「道」がつく文化が好きだから、居合道を体験できてうれしかったです。
太田さん親子が基本の技を披露すると、道場は一瞬でピリッとした厳粛な空気に。居合道初体験の高良さんに「映画で殺陣を経験しているから、さすが納刀もきちんとできるね」と誠二さん。稽古が終わると日本刀を丁寧に磨きあげ、刃先は常に鋭く光っている。
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