熊本市には観光と写真撮影、どちらも満喫でき
る場所がたくさんあります。熊本の歴史や文化
に触れながら、誰かに見せたくなる写真撮影も
楽しんでみませんか。
まず、基本の撮影ポイントを紹介します。スマートフォンと一眼レフカメラ、それぞれの撮り方のコツや活用したい機能などをチェックして、いつもの写真をワンランクアップさせましょう。
スマートフォン
カメラアプリには、最適と思われる明るさに自動調整する機能がありますが、撮りたい明るさとは違うときも。そんな時は明るさ調整機能を使って、自分好みの明るさに設定することができます。
ポートレート撮影の機能が搭載されているスマートフォンであれば、主役の被写体を目立たせる写真を撮ることができます。
ズーム機能を使うと、遠くのものを大きく撮影できるほか、遠くのものを目で見るよりも近くにあるように撮影できる「圧縮効果」が得られます。
一眼レフカメラ
一眼レフカメラの明るさを調整する方法を露出補正といいます。オート機能でも仕上がりよく撮影できますが、逆光など状況によっては思い通りの明るさにならないことも。そんな時はシャッタースピード、F値(絞り値)、ISO感度の操作を行うことで思い通りの明るさに撮影することができます。また、夜景などの暗い被写体はAF(オートフォーカス)だとボケてしまう場合も。その場合はMF(マニュアルフォーカス)に切り替えて「無権限(∞マーク)」で撮影してみましょう。
一眼レフカメラにはたくさんの種類のレンズがあります。遠くまで撮影できる「望遠レンズ」や狭い空間を広く撮影できる「広角レンズ」、背景が大きくボケやすい「単焦点レンズ」などさまざまです。同じ被写体でもレンズによって表情が大きく変わるので、いろいろなレンズを試してみるのも一眼カメラの楽しみ方のひとつです。
熊本市のシンボル「熊本城」は、“築城の名手”として知られる加藤清正が慶長12年(1607年)に築城しました。豪壮雄大な構えや難攻不落といわれる造りから、日本三名城のひとつに数えられています。
並び立つ大天守と小天守は、明治10年(1877年)に西南戦争開戦直前の火災によって焼失し、昭和35年(1960年)に再建。その後、平成28年(2016年)の熊本地震により被害を受けましたが、復旧作業が進められ、令和3年(2021年)3月に完全復旧し、内部の見学も再開しています。大天守の最上階からは、熊本市内や遠く阿蘇の山並みを一望できます。
「本丸広場」から天守閣の撮影は、低いアングルから見上げるように撮影するとダイナミックな写真が撮れます。春は桜と一緒に、初夏~秋は大イチョウの木と一緒に撮影するのもおすすめです。
特別見学通路から見学できる「二様の石垣」は、反り立った石垣が圧巻。見学通路の手すりに両肘を乗せて撮影すると手ブレせずに撮影できます。
また、近隣にある市庁舎展望ロビーをはじめ、城外にも様々な撮影ポイントがあるのも魅力です。
「二の丸広場」からは、大天守、小天守などが並んだ風景が撮影できます。建物まで距離があるので、スマホ撮影の場合はズーム機能をうまく使いましょう。一眼レフカメラの場合は望遠レンズが最適です。
熊本市の中心部にある「通町筋(とおりちょうすじ)」。路面電車が走り、百貨店や上通・下通などのアーケード街があるこの通りは、いつも多くの人で賑わっています。熊本城を背景に路面電車が走り、人が行き交う風景をおさめた熊本らしいノスタルジックな写真が撮れるフォトスポットです。
おすすめは駕町(かごまち)通りの入口付近の歩道からの撮影です。バスが多く通るので、通過するタイミングを見計らって撮影しましょう。
ズーム機能を使って、被写体より奥の背景が大きく見える「圧縮効果」により、手前の電車と奥に見える熊本城のサイズ差が少なくなります。
市内を流れる坪井川にかかる趣深いアーチ型の石橋。明治10年(1877年)に架設されたことから「明十橋(めいじゅうばし)」と呼ばれています。東京の「日本橋」や皇居の「二重橋」、熊本県山都町の「通潤橋」などを手がけた熊本出身の石工・橋本勘五郎が造ったもので、完成から150年近く経った現在も人々の暮らしを支える存在としてその役割を果たしています。
隣に架かる「新呉服橋」から、「明十橋」を正面に捉えることができます。人物を含めて撮影する場合は、橋の中間に立ってもらうとよいでしょう。その際、色鮮やかな日傘をさすなど、アクセントを加えるのもおすすめです。
坪井川沿いは、春は桜、初夏からは美しい緑、秋は紅葉と自然の表情も豊か。
橋の後ろにあるビルと手前にある木々の彩りが映える、コントラストが楽しめる贅沢な一枚をカメラに納めることができます。
(洗馬橋~新町電停付近)
大正13年(1924年)に運行を開始した路面電車「熊本市電」。熊本に住む人々の日常の足としてはもちろん、JR熊本駅や熊本城、アーケード街、水前寺成趣園など、熊本市内の主要な観光地への交通手段としても便利です。
昭和に導入され今なお現役のレトロな車両や水戸岡鋭治さん監修の超低床車両「COCORO」など、さまざまなタイプの車両があります。B系統の洗馬橋~新町電停間には軌道敷のみの区間があり、周囲の風景と調和した写真を撮ることができます。
「洗馬橋」電停付近。発着時はゆっくりと運行するのでシャッターチャンスが多く、撮影しやすいポイントです。
「洗馬橋」は民謡『あんたがたどこさ』にゆかりが深く、電停付近には民謡に登場するたぬきの像があります。また、電停の脇にある小さなリスの像など、電車以外の撮影も楽しめます。
「水前寺成趣園(すいぜんじじょうじゅえん)」は、寛永9年(1632年)に肥後細川初代藩主・細川忠利公が茶屋を置いたことを始まりとし、その後、寛文11年(1671年)に三代目藩主綱利公のときに完成した池泉式回遊庭園です。阿蘇の伏流水が湧き出る池を中心に、ゆるやかな起伏の築山、浮石などが配された庭園の美しさに加え、桜や新緑、紅葉、雪景色など四季折々の風景も見事です。
また大正元年(1912年)に京都御所から移築復元された「古今伝授の間(こきんでんじゅのま)」は、慶長5年(1600年)に細川藤孝公が智仁親王に古今和歌集の奥義を伝授されたと伝わる建物で、この場所が庭園を眺めるベストスポットと言われています。室内では抹茶とお菓子を味わうことができます。
「古今伝授の間」の室内から撮影する場合は、水平と垂直に気を付けて撮影すると、建物の縦、横が真っすぐとなった写真が撮影できます。スマートフォンのカメラ機能に水平器がある場合は活用しましょう。
「古今伝授の間」の窓をフレームに見立てて外の風景を切り取るように撮影するのもおすすめ。室内と外の明暗差があるので「明るさ調整機能」を使用して、外の風景がきれいに見えるように調整します。
池から眺める「古今伝授の間」もおすすめのフォトスポット。水鏡となった風景を入れる構図で撮影すると、日本画を思わせる風雅な写真を撮影することができます。
人々が心癒されるように、野生動物にとっても「水前寺成趣園」は憩いの場。白鷺が羽ばたく優美な姿や透明度抜群の池で泳ぐ色とりどりの錦鯉などシャッターチャンスがたくさんあります。
有明海に面する熊本市西区河内の「塩屋漁港」。防波堤に立つ赤灯台や沖に浮かぶ海苔網、遠くに見える雲仙普賢岳など、この場所ならではの風景を眺めることができます。また、夕日のスポットとしても知られ、普賢岳に沈む夕日はとてもフォトジェニックです。
夕日に向かって撮影する場合は、オート設定では狙った明るさにならない場合があります。スマートフォンであれば、明るさ調整機能を、一眼レフカメラの場合はシャッタースピード、F値、ISO感度をマニュアル操作し、明るさを調整しましょう。
遠くに見える雲仙と灯台とノリの漁場、タイミングが合えば漁船の出航風景も合わせると雰囲気のいい漁港の風景を撮影できます。夕日が沈み、マジックアワーの時間帯になると明るさが足りず手ブレするので、三脚があると便利です。
市街地から見える仏舎利塔が目印となっている標高133mの「花岡山」は、熊本市屈指の展望スポット。特に夜景の美しさが有名です。展望公園がある頂上まで車で行くこともできます。JR熊本駅を発着する電車や賑わう繁華街、並び立つ高層マンションなど、熊本市街地の夜景をベンチに腰掛けながらゆっくり満喫しましょう。
スマートフォンで夜景を撮影する場合、夜景モードを使うと全体が明るくなりすぎることがあります。その場合は、通常撮影モードを使い、明るさを手動で調整しましょう。
一眼レフカメラで夜景を撮影する場合、F値を8以上に設定すると、光がキリっと明瞭になります。シャッタースピードが遅くなり、シャッターを指で押す動作もブレの原因になるので、セルフタイマー機能を使うのがおすすめです。
一眼レフを使い夜間に撮影する場合、三脚は必須です。カメラが揺れないように固定撮影を行いましょう。
JR熊本駅からほど近い場所にある「Salon de thé Le Riz Un(サロン・ド・テ ル・リアン)」。ネオクラシックをテーマにした店内は、英国のテキスタイルデザイナー、ウィリアム・モリスの壁紙やビビッドカラーの椅子、ゴールドの照明などが目を引く非日常の空間。この雰囲気を味わいたいと多くの人が足を運んでいます。
パスタや肉、魚などのメインが選べるランチのほか、季節のフルーツを使ったパフェやプリンアラモードなどのスイーツを楽しめます。「季節のベリーとピスタチオクリームのミルフィーユ」は、バターが香るパイ生地に、イタリア産ピスタチオのクリームやイチゴなどのベリーを重ねた一品。提供された時に驚きの歓声があがるほどボリュームがあるので、シェアして楽しむ方も多いそう。ローズ、メロン、ブルーの3色から選べるクリームソーダなど、華やかな見た目のドリンクも写真映えします。
料理撮影には、スマートフォンのポートレートモードを活用しましょう。被写体の背景を大きくぼかすことができるので、被写体をより強調した撮影をすることが可能です。透明のグラスなどは背景と同じようにボケる可能性があるので注意が必要です。
テーブル全体を撮影するのではなく、料理1点をアップした写真を撮影すると、よりおいしそうに見えます。お皿のどちらか一辺を切りとるように配置する「C字構図(お皿の一部だけフレームに入れると、Cの字のように見え見栄えがする)」と呼ばれるテクニックは、プロのカメラマンも料理撮影の時によく用います。
料理写真には、料理のつや感などの「シズル感(食欲を刺激する感覚)」が大事です。プロは照明やレフ版を使って撮影をしますが、スマートフォンのライトでも代用できます。斜め後ろあたりから光を当てると料理に立体感がでてよりおいしそうな写真が撮影できます。
熊本市電「通町筋」電停そばにある「熊本屋台村」は、熊本の名物料理を堪能できる飲食店やアンテナショップなど、合計17店舗が軒を連ねる食のニュースポット。昼から夜まで多くの人で賑わい、活気に満ちています。
「炉ばたイタリアン 自然派ワイン いるふぉ」は、熊本県菊池市にある本格ピッツァ専門店「イルフォルノドーロ」が手掛けるモダンイタリアン。厳選した熊本県産食材を使った、 “和” を連想させる新感覚の料理を楽しめます。
名物料理、ナポリのスティックピッツァ「ロトリーノ」のほか、炭火の炉端で焼く山都町「松本養魚所」のヤマメや、阿蘇のあか牛を薪窯で焼き炭火の熱で仕上げる炉端焼きなど、どれも食べておきたいメニューばかり。自然派ワインや熊本の地酒と共に楽しんでみてはいかがでしょうか。
「熊本屋台村」の通路は、細工の照明と活気ある店構えが絵になる撮影スポット。人物を入れる場合は道の真ん中を歩いてもらい、写真の中央に配置する「日の丸構図」で撮影するのがおすすめです。
通路側の席に座った時は、屋台村の風景を背景に料理を撮影してみましょう。カメラを下から上へあおるアングルにすると、照明の光が入り屋台村ならではの料理写真に。ポートレートモードを利用し背景をぼかすと、雰囲気のいい写真に仕上がります。
料理をおいしそうに撮影するには、近づくのがコツです。料理をよく観察し、おいしそうと感じたポイントにカメラを近づけてアップで撮影してみましょう。
撮影した写真の色や明るさを補正することを「レタッチ」と言います。撮ったままでなく、レタッチをすることで、写真をより魅力的に仕上げることができます。パソコンのソフトを使う本格的なレタッチのほか、スマートフォンのアプリでも気軽にレタッチできるので、やりやすい方法を探してみましょう。
被写体が最もきれいに見える明るさに調整しましょう。その時、明るすぎたり(白トビ)暗すぎたり(黒トビ)しないように調整するのがコツです。
コントラストを高くすると明暗の差や彩度差が大きくなり、シャープでくっきりとした印象になります。逆に低くするとトーンを抑えた柔らかい写真になります。
写真の鮮やかさを調整します。実物の色とかけ離れすぎない程度に彩度を上げると、色鮮やかな写真に仕上がります。