実は将棋やチェスのような面白さ
競輪観戦の醍醐味を伝えるBarオーナー!

日本最高レベルのレースを
生で観て、興味を持った競輪

年配の男性の観戦が多いイメージが強い競輪。しかし、最近「熊本競輪」に若い人達を連れては競輪の楽しさを広めている男性がいると聞き、我々は早速現場へ足を運んだ。訪れたのはインフォメーションセンターにある「ビギナーズルーム」。競輪初心者に元競輪選手のスタッフが、競輪の楽しみ方を教えてくれるスポットだ。そこで、大きな身体でにこやかに爆裂トークを繰り広げる男性こそが噂の小島希一さん。普段はバーを経営しているとあって、人を引き込む話術が魅力の彼。初対面、そして競輪初心者の我々にも、競輪の専門用語を駆使しながら熱く楽しく話を始めてくれた。「競輪にはまったきっかけは4年ほど前。熊本でG1レースが開催されると聞き、『大きいレースならぜひ生で観たい』と初めて競輪場へ足を運んだんです」。とはいえ、初めての競輪場で投票のノウハウも分からず、勘で車券を買っての観戦。そこでビギナーズラック!…とはいかず予想は大きく外れたが、全国レベルの肉薄のレースの迫力を目にしたことで「競輪、面白いかも…!」と一気にハマったのだそう。そこで、「まずは予想の仕方を覚えたい」と通ったのが、この競輪場のビギナーズルームだった。元競輪選手や職員から多くの情報を仕入れ、ネットでも勉強し、短期間で驚く程に知識を得ることに。「予想の仕方はもちろん、レースの仕組みや選手の生活など、競輪を知れば知る程面白くなって、毎週のように通うようになりました」。お店の営業時間が夜であることも幸いして、競輪開催日には足繁く通うようになった小島さん。始めるまでは「数あるギャンブルの一つ」だと思っていた競輪の、真の魅力に虜になっていた。


「ギャンブル」で終わらない
競輪の魅力にのめりこむ

では、何が小島さんをそこまで熱中させるのか? 「競馬や競艇にもそれぞれの楽しさがあると思いますが、競輪は将棋やチェスのような戦略性が強い点が魅力だと思います」と小島さん。例えば、競輪で予測する際に大事なポイントの一つに「ラインの読み」というものがある。ラインとは、レースを有利に運ぶため2~5人が連携を組んで走ること。レース中盤まではライン同士の争い、そして終盤は個人の争い。つまり、一つのレースの中でチーム戦と個人戦、両方のハードな競走があるのだ。「このラインは、同じ地域の出身地だったり、同じ本拠地だったりと、縁のある選手同士で組むのですが、その人間関係を読み解くこともレース予想に不可欠。人間関係が密接なラインほど団結力も強いものです。ですので、選手の人間関係の情報もしっかり頭に入れて分析します」。さらに、選手のレース数や実績、「先行、捲り、追い込み」などのレース展開のタイプや性格など、ありとあらゆる情報を仕入れ、分析し、予想するのです。さらに、グレードごとにエンターテイメント生の高いレースの組み方がされ、さらに分析の楽しみが増える。「情報解析力や分析力、人を見る目や推理力まで鍛えられるので、私にとってはギャンブルではなく『頭脳ゲーム』や『脳トレ』のような感覚。接客や営業の仕事での戦略立てにも通じる、大人のたしなみとしての楽しさにあふれていると思います」。競輪の予想紙「コンドル」には、レースごとに選手の詳細なレースのデータや実績が、膨大な量の細かな数字や文字で記載されており、さらに選手の性格や近況などについて細かな分析がされている。我々が見ても目がチカチカするばかりだが、「慣れれば、紙面を一目見れば大体の情報が頭に入るようになりますよ」と小島さん。さすがだ!


自分が楽しむだけでは物足りない!
競輪の魅力を広める話術と行動力

そうして毎週の様に競輪場に通う小島さんだが、それだけでは飽きたらず、得意の話術で若い年代のお客さんに競輪の真の魅力を伝えては一緒に訪れ、投票を楽しむようになった。そのような姿に目を付けたのが、競輪場の職員さん。「ロアッソ熊本を盛り上げるサポータークラブのように、ファンで作るクラブを作りたい」と、なんと「熊本競輪サポーターズクラブ」の立ち上げに関わり、副会長に就任することに! 競輪の普及活動が、小島さんの新たなライフワークとなったのだ。サポーターズクラブでは、ビギナーズルームで初心者の人に教えたり、競輪場でのマルシェやロードバイクフェスタなどのイベント運営、予想会イベントへの出演など、多岐に渡る活動を行っている。さらに、競輪に関する情報発信をブログやフェイスブックで頻繁に行う中で、競輪選手や全国の競輪ファン達とも交流を重ねている。経営するバーにも選手や、旅先の競輪場で「旅打ち」を楽しみに来るファンが訪れ、『熊本競輪ファンの聖地』的な場所になりつつあるのだ。「競輪の奥深さは、語っても語り尽くせない。まずは一緒に体感してもらうのが一番だと思います」と小島さん。初めての競輪をしっかり楽しみたいならば、まずは競輪場で小島さんの姿を探してみると良いかも知れない…!


熱人フォトアルバム

A.近くで見ると、
すごい急角度!
競輪場のコーナー地点は、立てないほどの角度。熊本のコースは全国でも1周の長さが最も長い(500m)そう。
B.経営する
「BAR mf」です!
小島さんが営むバー。競輪好きな人も、お酒好きな人も、おしゃべり好きな人も楽しめる空間。
C.サポーターとして
頑張っています!
G1レースの予想会では、予想の仕方や車券の買い方をステージでレクチャー。面白いです!
D.自転車でコースを走る
イベントも
「ロードバイクフェスタ」では、実際にロードバイクでコースを走りました。貴重な体験!

小島さんの回答Q&A

イチ押しの選手は?

今注目しているのは、地元の若手選手である野口大誠選手です。2015年のヤンググランプリで優勝し、将来有望な選手です。他にも、50代で現役、しかもS級(最上クラス)の西川親幸選手や、宇都宮のレジェンド・神山雄一郎選手など、たくさんいます!

野口選手が優勝したあとに、小島さんのバーで行われた祝勝会の様子(メガネの男性が野口選手)。競輪選手は20代から60代まで現役で活躍しており、その頑張る姿にも励まされるそう。
 
 

競輪を始めたい!と思ったら?

まずはネット「けいりん.jp」などで基本情報を調べて、投票のシミュレーション。もしくは競輪場のビギナーズルームで元選手に教えてもらいながらレースを見ると良いでしょう。そして、「BAR mf」においでいただければ、手取り足取り(笑)私がレクチャーしますよ!

競輪場東門近くのインフォメーションセンター内にある「ビギナーズルーム」。気さくなスタッフが楽しく対応してくれるので安心。たまに小島さんもいます。


小島 希一

BAR mf」(熊本市中央区下通1-4-24-2F TEL 096-356-8751)オーナー、および「熊本競輪サポーターズクラブ」副会長。40歳。

調査まとめ

競輪観戦歴4年ながら、競輪選手経験者であるかのような知識と話の面白さにのめりこんだ我々。取材日は、静岡での場外レース開催日。小島さんに教えられた知識を元に大型モニターでレースを見ると、選手の動きやレース展開の意味がわかり、生き生きと見えてきた。そして取材終了後、我々の足は車券売場へ向かった…!


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